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動注治療とは?

動注治療は、長引く痛みの原因となっている異常な微細血管(通称:モヤモヤ血管)に対して、直接アプローチする比較的新しい治療法です。
通常、慢性的な炎症が続いている部位では、本来は不要な、細くて異常な血管(モヤモヤ血管)が増殖していることがあります。これらの血管は痛みの神経と一緒に増えるため、痛みの原因の一つと考えられています。
動注治療では、超音波(エコー)で血管の状態を確認しながら、痛みの原因となっている異常血管へ栄養を送っている動脈に、ごく細い針を用いて薬剤を注入します。この薬剤(※)が異常な血管に流れ込むことで、血流を減少させ、結果として炎症や痛みを軽減させる効果が期待されます。
(※)当院では、抗生物質の粒子(イミペネム・シラスタチン)を含む薬剤を使用し、異常血管の血流を調整します。
おおよそ5分間で治療は終了するため、日帰りで施術可能です。
どのような場合に検討されるか?
主に、手、肘、膝、足などの関節や腱の周囲に生じる慢性的な痛みで、他の治療法(安静、薬物療法、通常の注射、リハビリテーション、体外衝撃波など)で十分な改善が見られない場合に選択肢となります。
対象となる主な症状・疾患例
症状
- 安静にしていても痛む
- 特定の場所を押すと強く痛む
- 動き始めや、動かした後に痛みが強くなる
- 痛む箇所が腫れている、熱を持っている
- 朝のこわばりや痛み
- 夜間の痛み
疾患例
手指 | へバーデン結節、母指CM関節症、腱鞘炎(ばね指、ドケルバン病) |
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肘 | テニス肘(上腕骨外側上顆炎)、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) |
膝 | 大腿四頭筋腱炎、膝蓋腱炎、鵞足炎 |
足 | 足底筋膜炎、アキレス腱炎、有痛性外脛骨、外反母趾、モートン病、母趾種子骨障害 |
動注治療のメリット・デメリット
メリット
- 他の治療で改善しなかった長引く痛みに対して、効果が期待できる。
- 治療効果が比較的長く持続する可能性がある。
- 注射自体は5~10分程度と短時間で、日帰りで行える。
- 体への負担が少ない治療法である。
- 報告されている重篤な合併症は極めて少ない。
デメリット
- 効果の現れ方や程度には個人差があり、すべての方に効果が保証されるものではありません。
- 治療後、一時的に注入部位やその周辺に痛みやだるさ、熱感、内出血などが生じることがあります。
- まれに薬剤に対するアレルギー反応が起こる可能性があります。
- 健康保険が適用されない自由診療のため、治療費は全額自己負担となります。
当院の動注治療
専門医による的確な診断: 整形外科専門医が診察し、超音波(エコー)検査で痛みの部位や異常血管(モヤモヤ血管)の有無・状態を詳細に評価した上で、動注治療の適応を慎重に判断します。
超音波ガイド下での安全・正確な手技: 必ず超音波で血管や針の位置を確認しながら、目的の動脈へ正確に薬剤を注入します。これにより、安全性と治療効果の向上を目指します。
短時間での治療: 実際の注射にかかる時間は5~10分程度です。
治療の流れ
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診察・適応判断
医師が症状やこれまでの治療について伺い、診察、超音波検査を行います。
動注治療が適切と判断された場合、治療内容、効果、リスク、費用について詳しくご説明し、同意をいただきます。
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注射
超音波ガイド下に、痛みの原因部位に関連する動脈へ細い針を進め、薬剤をゆっくりと注入します。注入時に、薬液が流れる部分に軽い痛みや熱感を感じることがありますが、通常は数分で治まります。
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圧迫止血
注入後、針を刺した部位を数分間圧迫して止血します。
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終了・帰宅
特別な処置がなければ、そのままご帰宅いただけます。
ご留意いただきたいこと
- 治療当日は、シャワー浴は可能ですが、湯船での入浴はお控えください。
- 治療後2~3日は、飲酒や激しい運動、マッサージなど、血流が良くなるような活動は避けてください。
- 軽い痛みやだるさが数日続くことがありますが、徐々に改善していきます。もし痛みが強くなる場合や、異常を感じる場合はご連絡ください。
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「何をしても痛みが良くならない」とお悩みの方は、動注治療が新たな選択肢となるかもしれません。ご興味のある方は、ぜひ一度医師にご相談ください。