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- 腰の痛み

腰痛は、多くの方が生涯に一度は経験すると言われるほど、非常に身近な症状です。
デスクワークや立ち仕事、育児や介護、スポーツなど、様々な要因で腰には日常的に負担がかかっています。
一時的な筋肉の疲労や軽い捻挫(ぎっくり腰など)が原因であることも多いですが、中には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など、神経に関わる病気や、まれに重篤な疾患が隠れている場合もあります。
痛みが長引く場合や、気になる症状がある場合は、自己判断せずに整形外科を受診し、原因を正確に診断してもらうことが大切です。
腰痛で整形外科を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、ご相談ください。
特に5.6.のような
神経症状や、
7.のような危険信号(Red Flag)には注意が必要です。
1. 痛みの特徴
- 腰を曲げたり反らしたりすると痛む。
- 長時間座っている、または立っていると痛くなる。
- 朝起き上がるときに痛む。
- 安静にしていても痛む、夜間に痛みが強くなる。
- 以前より痛みが悪化している、痛む範囲が広がっている。
2. 動きの問題
- 腰が痛くて体をまっすぐ伸ばせない。
- スムーズに動けない、動き始めが特に痛い。
3. しびれや放散痛
- お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて痛みやしびれがある(坐骨神経痛)。
4. 歩行の変化
- しばらく歩くと足が痛くなったりしびれたりして歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる(間欠性跛行)。
5. 筋力低下
- 足に力が入りにくい、つま先立ちがしにくい、スリッパが脱げやすい。
6. 排泄の問題
- 尿が出にくい、頻尿、便秘、失禁など(膀胱直腸障害)。
7. その他の注意すべき症状(Red Flag)
- 明らかなきっかけがないのに痛みが始まった。
- 時間とともに痛みが悪化する。
- 発熱がある。
- 最近、原因不明の体重減少があった。
- がんの既往歴がある。
腰痛の主な原因
腰椎(腰の骨)やその周りの組織の問題
急性腰痛症(ぎっくり腰)
重い物を持ち上げたり、急に体をひねったりした際に起こる急激な腰痛。多くは筋肉や靭帯の損傷(捻挫)ですが、椎間板ヘルニアなどが隠れていることもあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、近くの神経(神経根)を圧迫する状態。腰痛に加え、お尻から足にかけての痛みやしびれ(坐骨神経痛)を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
加齢などにより、神経が通る背骨のトンネル(脊柱管)が狭くなり、神経(馬尾や神経根)が圧迫される状態。特徴的な症状は、歩くと足が痛くなったりしびれたりする間欠性跛行です。
変形性腰椎症
加齢に伴い、腰椎や椎間板が変形し、慢性的な腰痛の原因となることがあります。
腰椎圧迫骨折
特に骨粗しょう症の方で、転倒やくしゃみなどの軽い衝撃で背骨がつぶれてしまう骨折。
強い痛みを生じ、背中が丸くなる原因にもなります。
スポーツによるもの
腰椎分離症・すべり症
成長期のスポーツ選手に多く、腰を反らしたりひねったりする動作の繰り返しで腰椎の一部(椎弓)に疲労骨折(分離症)が起こる状態です。
進行すると骨が前後にずれる「すべり症」になることもあります。
男性に多く発症します。
発症率は6%ですが、スポーツ選手では30-40%と高くなっています。
筋・筋膜性腰痛
スポーツによる筋肉の使いすぎや、柔軟性不足による腰痛です。
その他の原因
まれに、内臓の病気(腎臓結石、婦人科疾患、大動脈瘤など)、感染(化膿性脊椎炎)、腫瘍などが腰痛の原因となることもあります。
診断と治療
診断
- 症状、生活習慣、職業、スポーツ歴などを詳しく伺い、腰の動きや神経の状態(感覚、筋力、反射など)を診察します。
- レントゲン検査で、骨の変形、ずれ(すべり症)、骨折の有無、全体的なアライメントを確認します。
- 神経症状が疑われる場合は、提携病院でMRI検査などを行い、神経の圧迫などを詳しく評価します。
治療
保存療法
安静と活動 性の維持 |
ぎっくり腰などの急性期は安静が必要な場合もありますが、多くの腰痛では過度な安静は回復を遅らせる可能性があります。可能な範囲で活動性を維持することが推奨されます。 |
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薬物療法 | 痛みを和らげる消炎鎮痛薬(内服、外用)、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬、神経の痛みに有効な薬などを処方します。 |
注射療法 | 痛みが強い場合、痛みの原因となっている部位(トリガーポイント、神経根、硬膜外腔など)に局所麻酔薬やステロイドなどを注入するブロック注射が有効な場合があります。 |
物理療法・ 装具療法 |
温熱療法、電気治療などで痛みを和らげます。必要に応じてコルセットなどの装具を使用することもあります。 |
リハビリ テーション (運動療法) |
腰痛治療・再発予防の要です。理学療法士が、個々の状態に合わせて、体幹(コア)の筋肉を強化するトレーニング、ストレッチ、姿勢改善、正しい体の使い方などを指導します。 |
当院の広大なリハビリ室で効果的な運動療法を行えます。
手術療法
- 保存療法を十分に行っても症状が改善しない場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合(強い麻痺、歩行困難、膀胱直腸障害など)には、手術が検討されます。
- 椎間板ヘルニアに対する手術、脊柱管狭窄症に対する除圧術、腰椎固定術などがあります。手術が必要な場合は、連携する専門病院をご紹介します。
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腰痛の原因は多岐にわたります。痛みを放置したり、自己流のマッサージなどで悪化させたりせず、まずは整形外科で正確な診断を受け、ご自身の状態に合った適切な治療やアドバイスを受けることが改善への近道です。