【院長ブログ】野球検診の意義

お知らせ

【院長ブログ】野球検診の意義

2024.11.27

先日、堺市の野球検診(堺スポーツ障害予防セミナー)に参加してきました。
野球検診では、野球教室、身体診察、超音波検査、ストレッチ指導を行い、私は主に超音波検査を担当しました。
野球検診の主な目的は、「肘の離断性骨軟骨炎」を早期に発見することです。
野球を長く続けていくためにも定期的に検診を受けることが重要です。

肘の離断性骨軟骨炎は、成長期の野球選手によく見られる障害で、発症早期は無症状です。その無症状である早期のうちに診断し、治療を開始することで選手の競技生活に与える影響を最小限に抑えることができます。診断は超音波検査やMRI検査で行います。
その「肘の離断性骨軟骨炎」について、その概要、原因、症状、治療法、予防法についてまとめました。

1. 概要

離断性骨軟骨炎は、肘関節内の軟骨やその下の骨が部分的に剥がれたり、最悪の場合は関節内に遊離してしまう疾患です。軟骨が剥がれると、その部分に血流が届きにくくなり、軟骨や骨の壊死が進行することがあります。特に成長期の野球選手に多く発生し、進行すると痛みや可動域制限が強くなるため、早期発見と適切な対応が重要です。

2. 原因

・投球動作の反復:野球では、ボールを投げる際に肘に強い負荷がかかり、その繰り返しで関節へのダメージが蓄積されます。特にピッチャーなど、繰り返し負担をかける選手は発症リスクが高くなります。
・成長期の特性:成長期の骨や軟骨は柔らかく傷つきやすいため、離断性骨軟骨炎のリスクが高まります。
・適切でないフォーム:無理なフォームや過度な練習によって肘に負担がかかり、障害が進行しやすくなる場合があります。

3. 症状

・肘の痛み:投球動作中や後に肘の内側や外側に痛みが出現します。
・可動域制限:痛みや違和感により、肘を完全に曲げたり伸ばしたりできない状態が生じることがあります。
・引っかかり感:進行すると、肘関節内に「引っかかり感」や「ロック感」が発生し、関節がスムーズに動かなくなる場合があります。

4. 治療法

保存療法:初期の段階では、安静や投球制限、固定を行い、肘を休ませることで自然治癒を促します。また、リハビリを通じて負担の少ないフォームを身に付けることも大切です。
手術療法:症状が進行した場合や、剥離した軟骨や骨片が遊離している場合は、手術が検討されます。関節鏡視下手術で骨片を除去、固定する手術が一般的です。

5. 予防法

適切なフォームの習得:負担を軽減できる投球フォームを指導することで、肘にかかる負担を軽減します。
練習量の管理:投球数を制限し、肘に無理な負荷がかからないように練習量や休養日を調整することが重要です。
定期的な検診:野球検診で定期的に肘の状態を確認することで、早期に異常を発見し、早めに治療を開始できます。