膝前十字靭帯断裂(ACL断裂)は、膝関節にある重要な靭帯の1つである前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament, ACL)が部分的または完全に断裂するケガのことを指します。この靭帯は、膝関節の安定性を保ち、すねの骨(脛骨)が太ももの骨(大腿骨)に対して前方へ過剰に動かないように制動する役割を果たします。
原因
前十字靭帯断裂は、急な方向転換や急停止、ジャンプの着地時、接触型スポーツでの衝突による、膝関節の過伸展や内反強制で生じる。
症状
膝の不安定感や脱力感。受傷後数日間で日常生活動作は可能となることが多い。
診断
身体診察(ラックマンテスト、前方引き出しテストなど)、関節穿刺(関節内血腫の有無)、MRI検査(靭帯評価)
治療法
保存療法
対象は、膝関節の不安定性が軽度の部分損傷、運動量の少ない人、高齢者。
膝関節の不安定性が強い場合は膝関節装具(サポーター)を装着し、リハビリテーションにて下肢や体幹の筋力強化を図る。
手術療法
対象は、スポーツ復帰を目指す人や膝の不安定感が強い場合、若年者。
ハムストリング(半腱様筋腱、薄筋)や膝蓋腱、大腿四頭筋を使用した前十字靭帯再建術。