【院長ブログ】骨粗鬆症の原因、診断、治療法

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【院長ブログ】骨粗鬆症の原因、診断、治療法

2025.01.09

骨粗鬆症は、骨密度や骨質が低下し骨が脆くなり、骨折を生じやすくなります。骨折によってADLが低下する前に治療を開始することが重要です。

1. 骨粗鬆症の原因

・加齢: 骨密度は30歳頃をピークに減少します。特に閉経後の女性はエストロゲンの減少により骨密度が急激に低下します。
・性別: 女性は男性に比べて骨密度が低く、骨粗鬆症のリスクが高い。
・栄養不足: カルシウムやビタミンDの不足。
・生活習慣: 喫煙、過剰な飲酒、運動不足、日光浴不足(冬)。
・病気: 糖尿病、リウマチ、甲状腺機能亢進症やステロイド薬の長期使用。

2. 骨粗鬆症の診断

・ 骨密度測定

DEXA法(デキサ法)が一般的。
超音波による骨密度測定は、精度が低くお勧めできない。
腰椎や大腿骨頭の骨密度を測定し、Tスコアが-2.5以下の場合、骨粗鬆症と診断。
・ 血液・尿検査
骨代謝に関連するマーカー(血中カルシウム、ビタミンD、骨形成マーカー、骨吸収マーカー)を測定。

3. 骨粗鬆症の治療法

治療は骨密度の維持・向上と骨折予防が目的です。生活習慣の改善に加え、薬物療法が重要。

(1) 内服薬
1. ビスホスホネート系製剤

例: アレンドロン酸、リセドロン酸
骨吸収を抑える作用があり、骨折予防効果が高い。
注意: 胃腸障害の可能性あり。また、服薬後30分は横にならない必要がある。

2. 選択的エストロゲン受容体モジュレーター (SERM)

例: ラロキシフェン
骨密度改善効果は弱いが、閉経後の女性に有効。乳癌予防効果あり。

3. 活性型ビタミンD3製剤

例: アルファカルシドール、カルシトリオール
カルシウム吸収を促進し、骨質を改善。単剤では効果は薄い。

4. カルシウム製剤

単剤では効果は薄い。降圧薬との併用には注意が必要。

(2) 点滴薬
1. ビスホスホネート系点滴製剤

例: ゾレドロン酸
1年に1回の点滴で済み、服薬管理が困難な患者に適する。
副作用: 内服後数日間の発熱や筋肉痛などの風邪様症状。

2. デノスマブ (抗RANKL抗体)

ビスホスホネート系製剤と同等の効果。6か月に1回皮下注射または点滴。腎機能が低下している患者にも安全に使用可能。

(3) 注射薬
1. デノスマブ(抗RANKL抗体)

ビスホスホネート系製剤と同等の効果。6か月に1回皮下注射または点滴。
腎機能が低下している患者にも安全に使用可能。

2. PTH製剤(副甲状腺ホルモン製剤)

例: テリパラチド
骨形成と骨吸収の回転を高め、骨密度を改善。骨密度改善効果高い。骨折後の骨癒合促進効果の報告あり。皮下注射または自己注射。自己注射の場合は自宅で使用可能。使用期間は2年間。

3. ロモソズマブ

骨形成促進と骨吸収抑制の両方の作用を持つ薬剤。骨密度改善効果は高い。月1回の注射。使用期間は1年間。

4. 治療の補足

生活習慣の改善。
栄養バランスの良い食事(カルシウム・ビタミンD摂取)、適度な運動、禁煙。
定期的な骨密度検査(4-6ヶ月毎)。
治療は患者の骨折リスクやライフスタイルに合わせて選択。医師と相談しながら、長期的な管理を行うことが重要。

骨密度を最大限高める薬剤選択:
PTH製剤またはロモソズマブを決められた使用期間まで使用し、その後デノスマブまたはビスホスホネート系製剤を5年間使用。