【院長ブログ】骨粗鬆症による骨折

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【院長ブログ】骨粗鬆症による骨折

2025.01.24

骨粗鬆症による骨折(脆弱性骨折、低エネルギー骨折)は、軽微な外力(転倒や日常生活での動作)で発生し、高齢者や女性に多く見られます。

1. 骨折の全体頻度

骨粗鬆症のある60歳以上の女性では、3人に1人が骨粗鬆症による骨折を経験するといわれ、高齢になるほど骨折リスクは上昇します。
日本では毎年約130万人が骨粗鬆症性骨折を経験すると推定されています。

2. 骨折の部位別頻度

骨粗鬆症による骨折は特に以下の部位で頻発します。

(1) 椎体骨折(脊椎圧迫骨折)

・頻度: 骨粗鬆症性骨折の中で最も多い。
65歳以上の女性の約20%が経験。また、加齢に従い増加する。
・特徴:軽微な外力(咳、くしゃみ、前屈)や痛みを伴わず生じることがある。(いつのまにか骨折)
重症例では円背(猫背)が生じ、逆流性食道炎や肺活量低下、転倒リスク上昇の原因となり、QOL低下を招く。

(2) 大腿骨近位部骨折(股関節周囲骨折)

・頻度: 2番目に多い骨折部位。
日本で年間約20万件発生。女性が男性の約2~3倍多い。
・特徴:転倒やつまづきが主な原因。
手術が必要になることが多く、死亡率や寝たきりリスクが高い。
骨折後1年以内の死亡率は約10〜20%。

(3) 橈骨遠位端骨折(手首の骨折)

・頻度: 比較的若い(50~60歳代)女性に多い。
・特徴:転倒して手をついた際に発生。
骨粗鬆症の初期兆候として見られることがある。

(4) 骨盤骨折

・頻度: 高齢女性に多く、転倒が原因。
・特徴:通常、骨盤骨折は交通事故などの高エネルギー外傷で生じるが、近年、骨粗鬆症による軽微な外傷によって生じる骨盤骨折の報告が増加している。
治療期間が長期にわたるため、歩行能力低下に直結する。

3. 骨折の再発リスク

骨粗鬆症性骨折を1回経験すると、次の骨折リスクは2~3倍に増加。特に椎体骨折(脊椎圧迫骨折)が一度生じると、受傷後1年以内に新たな骨折が20%の割合で生じると言われている。

4. 骨粗鬆症の早期診断・治療の重要性

骨粗鬆症を早期に診断し適切に治療を行うことで、骨折の頻度を大幅に減らすことが可能です。しっかりと治療しましょう!