【院長ブログ】凍結肩(肩関節周囲炎、四十肩、五十肩)の原因、疫学、治療法

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【院長ブログ】凍結肩(肩関節周囲炎、四十肩、五十肩)の原因、疫学、治療法

2025.02.27

原因

凍結肩は肩関節の可動域が制限され、痛み(特に夜間痛、動作時痛)を伴う疾患です。その原因は以下が関与していると考えられています。

1. 炎症性要因

肩関節の滑膜や関節包に炎症が起こり、瘢痕化、収縮、肥厚を引き起こします。

2. 非特異的要因

外傷や肩関節の過度の使用が誘因になる場合があります。

3. 局所安静による影響

手術後や骨折後に肩を動かさない状態が続くことで発症することがあります。

疫学

発症率
一般人口の約2~5%が発症するとされます。

年齢・性別

40~60歳代に多く、特に50歳代で発症がピークとなります。
男女ともに発症しますが、女性にやや多い傾向があります。

リスク因子

高脂血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、心血管疾患、喫煙、デスクワーク、運動習慣なしなどがあります。
糖尿病患者は、発症率が一般の10~20倍高いと言われています。

治療法

治療の目標は、痛みの軽減と肩関節の可動域改善です。症状の進行に合わせて以下の治療法が選択されます。

1. 保存療法(主に初期~中期)
リハビリテーション

ストレッチや関節可動域訓練を行い、肩の柔軟性を改善します。

薬物療法

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で痛みや炎症を抑制します。
ステロイドの関節内注射を併用する場合があります。

物理療法

温熱療法や超音波治療などを使用して筋緊張を緩和します。

2. 侵襲的治療

保存療法が効果を示さない場合に検討されます。

非観血的関節授動術(サイレントマニプレーション)

伝達麻酔下に肩関節を強制的に動かし、可動域を改善します。

関節鏡視下授動術

全身麻酔下に関節鏡で肥厚、収縮した関節包を全周性に切離することで可動域を改善します。

3. 経過観察

60-70%の症例では、1年半から2年経過しても、疼痛や可動域制限が残存すると報告されています。完全な回復には治療が必要です。

予後

一般的に良好ですが、回復までの期間は個人差があります。
早期診断と適切な治療が予後を改善する鍵となります。