肩の専門外来

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肩関節の特性と専門的ケアの重要性

肩関節の特性と専門的ケアの重要性

肩関節は人体において最も広い可動域(動く範囲)を持つ関節であり、その構造は非常に複雑です。この広範な可動性と複雑さゆえに、肩は様々な痛みや機能障害が発生しやすい部位となっています。「腕が上がらない」「夜間痛で眠れない」といった肩の不調は、日常生活の質(QOL)に著しい影響を及ぼす可能性があります。
八尾市のアスレティックス整形外科肩膝スポーツクリニックでは、肩関節外科と関節鏡視下手術を専門とする院長が、豊富な臨床経験と精密な診断能力に基づき、個々の患者に最適な治療方針を立案・実行します。

肩関節疾患に対する診断アプローチ

当院では、効果的な治療の基盤として正確な診断を最重要視しています。
診断プロセスは、患者の症状、既往歴、生活状況などを把握し、続いて、肩関節の可動域測定、筋力評価、各種誘発テストなどを含む体系的な身体診察を行います。
これらの臨床評価に加え、最新の画像診断技術を積極的に活用します。
診断ツールは、画一的に適用されるのではなく、患者の症状や臨床所見に基づいて選択します。

レントゲン(X線)検査

肩関節疾患の基本的な評価に使用します。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)では他の骨関節疾患を除外する目的で、肩峰下インピンジメント症候群では肩峰の形状や骨棘の有無を確認するために、反復性肩関節脱臼では脱臼の有無や骨折の合併を評価するために、変形性肩関節症では関節裂隙の狭小化や骨棘形成などの変形を確認するために実施します。

高精細超音波(エコー)検査

当院が特に注力している診断モダリティです。
この検査によって、レントゲンでは描出困難な腱、靭帯、関節包、滑液包などの軟部組織の状態を詳細に評価できます。四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)の診断、腱板損傷・断裂の有無・大きさ・位置・腱板筋の変性度の評価、肩峰下インピンジメント症候群における炎症部位の特定、石灰沈着性腱板炎における石灰の性状や周囲の炎症の確認、上腕二頭筋長頭腱の評価などに使用します。
また、注射療法や石灰吸引・洗浄といった処置を正確に行うためのガイドとしても活用し(「超音波ガイド下」)、迅速かつ正確な診断(「迅速かつ正確な診断」)に貢献しています。この高精細超音波の積極的な活用は、より正確な病態把握と、それに続く治療選択(例えば、保存療法か手術か、あるいは特定の注射療法の選択)の精度向上につながります。

MRI検査

エコー検査より詳細な軟部組織の評価が必要な場合に撮影します(提携病院)。
腱板断裂の詳細(大きさ、位置、腱の質、筋萎縮や脂肪変性)、反復性肩関節脱臼における関節唇(Bankart病変など)や靭帯の損傷評価、SLAP損傷の診断、上腕二頭筋長頭腱の詳細評価などに有用です。四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)では通常不要ですが、他の疾患が疑われる場合に考慮します。

CT検査

主に骨組織の詳細な評価が必要な場合に撮影します(提携病院)。
特に反復性肩関節脱臼の関節窩(受け皿)の骨欠損(骨性Bankart病変など)の程度を正確に評価するために実施します。

主な肩関節疾患とその治療戦略

当院では、以下のような様々な肩関節疾患に対して、診断に基づいた段階的かつ個別化された治療を提供しています。

四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)

原因・疫学

明確な原因なく発症し、肩関節を包む関節包とその周辺組織に炎症が生じ、組織が硬くなる(拘縮)状態です。
40代から60代に好発し、やや女性に多い傾向があります。
通常は片側性ですが、両側性に発症することがあります。

症状

肩の痛み(特に夜間痛が特徴的)、腕が上がらない、後ろに回せないといった可動域制限です。
急性期には炎症による激しい痛みが主症状となり、慢性期(拘縮期)には可動域制限が主体となります。

診断

問診、身体診察(可動域測定)、レントゲン検査(他の疾患を除外)、超音波検査で診断します。MRIは通常不要です。

治療
保存療法

病期(急性期、拘縮期、回復期)に応じた治療が行われます。
薬物療法(消炎鎮痛薬)、注射療法(ヒアルロン酸、ステロイド、生理食塩水などを注入して癒着を剥がすハイドロリリース)、そしてリハビリテーション(可動域訓練、ストレッチ)が中心です。数ヶ月のリハビリテーションで改善を目指し、当院で個々の状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを提供します。

超音波(エコー)ガイド下pie crust technique(パイクラストテクニック)

各種治療を行った結果、10-30度程度の可動域制限が残存した場合に検討される治療法です。外来(日帰り)で行われ、超音波ガイド下に硬くなった後方関節包を、注射針で30-50回繰り返し穿刺することでミシン目のように穴をあけ、関節包を伸張させ可動域を改善します。処置中の痛みはなく、手術や入院が不要で、速やかな可動域改善が期待できます。処置自体は5分間程度で終わります。

超音波ガイド下pie crust technique後のリハビリテーション

処置で得られた可動域を維持し、再拘縮を防ぐために極めて重要(「非常に重要です」)です。処置直後(翌日など)から積極的なリハビリテーション(可動域訓練、運動療法)を開始する必要があります。処置後数週間は通院リハビリと自宅での自主訓練が不可欠(「不可欠です」)であり、通常1~3ヶ月程度のリハビリ継続が推奨されます。

サイレントマニピュレーション(非観血的関節授動術)

保存療法(注射やリハビリ)への抵抗性がある(肩の拘縮や痛みが十分に改善しない)場合や早期の症状改善を希望される場合に検討する、当院の特徴的な治療法です。
外来(日帰り)で行われ、超音波ガイド下に頸部の神経(第5頸椎神経根)に局所麻酔を行い(伝達麻酔)、肩の痛みを一時的に消失させます。麻酔が効いている状態で、院長が徒手的にゆっくりと肩関節を動かし、硬くなった関節包を剥離・伸張させて可動域を改善します。処置中の痛みはなく、手術や入院が不要で、速やかな可動域改善が期待できます。肩専門である院長が行います。
処置自体は短時間ですが、準備や処置後の安静を含め、院内滞在時間は約1-2時間です。

サイレントマニピュレーション後のリハビリテーション

授動術で得られた可動域を維持し、再拘縮を防ぐために極めて重要です。処置直後(翌日など)から積極的なリハビリテーション(可動域訓練、運動療法)を開始する必要があります。処置後数週間は通院リハビリと自宅での自主訓練が不可欠であり、通常1~3ヶ月程度のリハビリ継続が推奨されます。
処置当日は麻酔の影響で腕が動かせなくなるため、自動車や自転車の運転はできません。合併症リスクは低いですが、一時的な痛みの増強や神経症状の可能性はあります。この手技の成功は、手技そのものだけでなく、その後の集中的なリハビリテーションへの患者の積極的な参加が必要です。

手術療法(関節鏡視下関節包解離術/授動術)

サイレントマニピュレーションが困難な方(骨折リスクが高い、拘縮の程度が強い、リハビリへの積極的な参加が困難)や、他の病変(腱板断裂・損傷など)を合併している場合に検討されます。
関節鏡を用いて硬くなった関節包を切離し、癒着を剥がして可動域を改善します。術後早期からリハビリを開始し、良好な可動域獲得を目指します。治療効果は一番高いですが、数日間の入院と手術が必要になります。手術時間は30-50分です。

この疾患に対する治療戦略は、保存療法、サイレントマニピュレーション、手術療法(関節鏡視下授動術)と3つの選択肢がある点が特徴です。各々長所と短所があり、診断に基づいた個別化された治療を提供します。

腱板損傷・断裂

原因・疫学

肩を動かすインナーマッスルである腱板(肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋)が、加齢による変性、使いすぎ(特に野球やテニスなどのオーバーヘッドスポーツ)、外傷(転倒など)によって損傷・断裂する状態です。
高齢になるほど発生率が高まりますが、スポーツ活動を行う若年層にも起こる可能性があります。主なリスク因子は、年齢、男性、重労働、利き腕、糖尿病、喫煙歴です。

症状

腕を上げる際の痛みや筋力低下(腕が上がらない)、夜間痛、肩を動かす際の音(クリック音)などです。症状は損傷の程度により異なります。

診断

問診、身体診察(筋力テスト、誘発テスト)、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査で、断裂の有無、大きさ、位置、腱板筋の変性度(萎縮や脂肪浸潤)を詳細に評価します。

治療
保存療法

断裂が比較的小さい場合や、活動性の低い高齢者などが対象となります。
薬物療法、注射療法(ヒアルロン酸、ステロイドなど)、リハビリテーション(可動域訓練、残存腱機能の強化)を行います。状態によってはPRP(多血小板血漿)療法が適応となる場合があります。当院ではこれらの治療法を個々の状態に合わせて組み合わせます。

  • 手術療法は関節鏡視下腱板修復術とリバース型人工肩関節全置換術(Reverse Shoulder Arthroplasty: RSA)の2つとなります。
関節鏡視下腱板修復術

手術適応は、外傷性の断裂、保存療法で改善しない有症状の断裂、比較的に大きい断裂、活動性の高い方、比較的若い方などです。
関節鏡を用いて、断裂した腱板を骨に縫い付ける手術(アンカーを使用したsuture bridge)を行います。小さな傷で行う低侵襲手術であり、早期の回復が期待されます。

術後リハビリテーション

修復した腱が骨に癒合するまでの保護が重要です。通常、術後3~4週間は肩関節外転装具を装着します。その後、当院の理学療法士の指導のもと、段階的にリハビリテーションを進めます。他動肩関節可動域訓練から開始し、筋力強化(自動関節運動は術後6-7週間からが目安)へと移行します。日常生活動作への復帰は術後3ヶ月頃、スポーツ復帰は半年~1年程度が目安ですが、患者の状態やスポーツ種目により異なります。

リバース型人工肩関節全置換術(Reverse Shoulder Arthroplasty: RSA)

手術適応は、高齢者で、高度な筋委縮を伴う広範囲腱板断裂または腱板断裂症性関節症があり、筋力低下の症状が強く出現している方です。
リバース型人工肩関節は、肩を上げるために重要な腱板がその機能を失ってしまった肩でも、再び腕を上げる動きを取り戻せるように特別に設計された人工関節です。通常の人工肩関節とはボールと受け皿の設置位置が逆(リバース)になっており、肩甲骨側にボール、上腕骨側に受け皿を設置します。この独特な構造により、肩周囲にある三角筋の力をより効率的に腕に伝えることが可能となり、腱板が機能していなくても腕を上げやすくなります。なお、RSAの手術は専門的な技術と高度な経験を要するため、特別なトレーニングを受け認定された医師のみが執刀を許可されています。

術後リハビリテーション

術後は、設置した人工関節が骨にしっかりと固定され、周辺の組織が回復するために、一定期間の安静が非常に重要です。そのため、通常は術後1~3週間肩関節外転装具を装着します。
装具を外した後は、理学療法士が患者様一人ひとりの状態に合わせて作成したプログラムに基づき、専門的な指導のもとで段階的にリハビリテーションを進めていきます。リハビリは、まず理学療法士が肩を動かす他動的な関節可動域訓練や、ご自身でゆっくりと肩を動かす自動的な関節可動域訓練から開始し、回復状況を見ながら徐々に筋力を強化する訓練へと移行していきます。
リバース型人工肩関節全置換術は日常生活動作の改善に大きな効果を発揮しますが、いくつか留意していただきたい点があります。人工関節である以上、長期的な耐久性には限界があること、そして腕を内側や外側にひねる動き(内旋・外旋)にはある程度の制限が残りやすいという特性があることです。これらの理由から、手術によって日常生活での腕の使いやすさは格段に向上しますが、激しいスポーツ活動や身体に大きな負担のかかる重労働への完全な復帰には、一定の制限が必要となる場合があることをご理解ください。

腱板断裂に対する治療は、断裂のタイプ(外傷性か変性か)、大きさ、患者の年齢や活動レベルといった要因を考慮して、保存療法と手術療法を選択します。

肩峰下インピンジメント症候群

原因・疫学

腕を上げる際に、肩の骨(肩峰)と腱板や滑液包が衝突(インピンジメント)し、炎症や損傷を引き起こす状態です。不良姿勢、肩甲骨の動きの悪さ(機能不全)、腱板の機能低下、肩峰の形状(骨棘)などが原因となります。
スポーツ選手や重労働者に多いですが、中高年にも多く発症します。

症状

腕を挙上する途中(特に60度から120度の範囲)での痛みや引っかかり感(painful arc)が特徴的です。夜間痛を伴うこともあります。

診断

問診、身体診察(Neerテスト、Hawkins-Kennedyテストなどのインピンジメントテスト)、レントゲン検査(肩峰の形状や骨棘の有無を確認)、超音波検査(腱や滑液包の炎症を確認)で行われます。

治療
保存療法

治療は、薬物療法、注射療法(ステロイドなど)、リハビリテーションが主体です。リハビリテーションでは、理学療法士と共に肩周囲の筋力強化(特に腱板や三角筋)、肩甲骨の安定性向上、姿勢改善などを行います。

手術療法(関節鏡視下肩峰下除圧術)

保存療法で改善しない場合や、肩峰の骨棘など骨の形状が主な原因である場合に検討します。手術は、関節鏡を用いて衝突の原因となっている骨棘の切除や炎症を起こした滑液包の切除(「骨棘切除、滑液包切除」)を行います。

術後リハビリテーション

術後早期から理学療法士の指導のもと、リハビリテーションを開始します。肩関節可動域訓練から開始し、筋力強化へと移行します。肩甲骨の安定性向上、姿勢改善などを行います。スポーツ復帰は比較的早期に可能ですが、患者の状態やスポーツ種目により異なります。

この疾患では、まずリハビリテーションを中心とした保存療法によって、肩関節周囲の筋力バランスや肩甲骨の動きといった機能的な問題を改善することを優先します。手術は、これらの保存的アプローチが奏功しない場合や、構造的な問題が明らかな場合に限定されます。

石灰沈着性腱板炎

原因・疫学

腱板内にリン酸カルシウムの結晶(石灰)が沈着し、急激な炎症を引き起こす疾患です。
原因は不明ですが、腱の変性などが関与すると考えられています。
30代から50代の女性に好発します。

症状

何の前触れもなく突然発症する激しい肩の痛み(突然発症する激しい肩の痛み)、夜間痛、可動域制限が特徴です。石灰が吸収される過程で痛みが軽減することもあります。

診断

レントゲン検査で腱板内の石灰沈着(石灰の沈着を確認)を容易に確認できます。
超音波検査では、石灰の性状(液状か固形状かなど)や周囲の炎症の程度を評価できます。

治療
保存療法

薬物療法(消炎鎮痛薬)、ステロイド注射による消炎が基本となります。
当院では、超音波ガイド下に穿刺して石灰を吸引・洗浄する処置(超音波ガイド下石灰吸引・洗浄)を行っています。また、体外衝撃波療法(ESWT)は有効な治療選択肢です。これらの手技は、早期の改善を希望される場合や薬物療法だけでは改善しない場合に、より積極的に石灰自体を除去・破壊することを目的とした、低侵襲な治療法です。

手術療法(関節鏡視下石灰除去術)

保存療法で痛みが遷延する場合に、検討します。手術は、関節鏡視下に石灰沈着物を除去します。

術後リハビリテーション

石灰が腱板内に沈着している場合は、腱板修復術が必要となるため、腱板修復術の術後リハビリテーションのプロトコールに準じて行います。腱板修復術が必要でない場合は、術後早期から理学療法士の指導のもと、肩関節可動域訓練から開始し、筋力強化へと移行します。スポーツ復帰は腱板の状態によって異なります。

石灰沈着性腱板炎に対しては、保存療法が主体です。当院では超音波ガイド下吸引・洗浄や体外衝撃波療法といった、より標的指向性の高い非手術的治療法を提供しています。これにより、多くの症例で手術を回避しつつ、効果的な症状緩和が期待できます。

反復性肩関節脱臼・肩関節不安定症

原因・疫学

スポーツ活動中の接触プレーや転倒などの外傷によって初回脱臼を起こした後、関節を安定させる靭帯や関節唇(特にBankart「バンカート」病変)が損傷します。修復されない状態が続くと、肩関節が外れやすい状態(不安定症)や、実際に脱臼を繰り返す状態(反復性脱臼)に移行します。
一度脱臼すると再脱臼のリスクが高く、特に若年者、コンタクトスポーツを行う男性に多く見られます。

症状

肩が外れそうな不安感(apprehension)、特定の動作(腕を外転・外旋する動作など)での痛みや不安定感、実際に脱臼を繰り返すことです。肩関節の脱臼時に神経や血管を損傷するリスクがあります。

診断

詳細な問診(初回脱臼の状況、頻度など)、身体診察(Apprehensionテストなどの不安定性テスト)、レントゲン検査(脱臼整復後の関節適合性、骨折の合併、特に肩甲骨関節窩や上腕骨頭の骨欠損の評価)、MRI検査(関節唇、靭帯の損傷評価)、CT検査(関節窩の骨欠損「骨性Bankart病変」の定量的評価)が必要です。骨欠損の評価を含めた包括的な診断アプローチは、最適な治療法選択(関節鏡視下Bankart修復術のみか、烏口突起移行術が必要か)に不可欠です。

治療
保存療法

若年者やスポーツ選手では再脱臼率が非常に高いため、初回脱臼であっても手術が推奨されることがあります。保存療法を選択する場合、脱臼整復後に三角巾などで3週間固定し、その後、リハビリテーションで肩周囲の筋力強化を図ります。

手術療法(関節鏡視下Bankart修復術、烏口突起移行術など)

手術適応は、2回以上の脱臼(反復性脱臼)、スポーツ活動への復帰を強く希望する初回脱臼(特に若年者)、明らかな不安定症状がある場合などです。
手術は、関節鏡を用いて剥がれた関節唇と関節包靭帯を元の位置の骨に縫合固定し(剥がれた関節唇と関節包を骨に縫い付け)、関節の安定性を再建します。
関節窩の骨欠損が大きい場合には、烏口突起移行術(Bristow変法やLatarjet法)またはRemplissage(レンプリサージ)を追加します。Remplissage(レンプリサージ)は、脱臼の際に生じた上腕骨頭後面の陥没部分(Hill-Sachs病変)を後方の腱板で埋めるように縫い付ける方法です。

術後リハビリテーション

安定した関節機能の再獲得に不可欠です。術後3週間は装具で固定します。その後、理学療法士の指導のもと、段階的に可動域訓練、筋力強化を進めます。ジョギング開始は術後2ヶ月頃、軽いスポーツ動作は3ヶ月頃、コンタクトスポーツやオーバーヘッド動作への本格復帰は6ヶ月以降が目安となります。

手術適応は、2回以上の脱臼(反復性脱臼)ですが、活動性の高い若年者の肩関節不安定症に対しては、再発率の高さを考慮し、初回脱臼から手術療法を選択する可能性があります。これは、早期に安定性を獲得し、スポーツ活動への確実な復帰を目指すための戦略です。また、軟部組織修復(Bankart修復)だけでなく、関節窩の骨欠損に対応する烏口突起移行術にも対応します。

上腕二頭筋長頭腱炎・損傷・脱臼

原因・疫学

「力こぶ」の筋肉である上腕二頭筋の腱のうち、肩関節内を走行する長頭腱が、使いすぎ(繰り返しの投球動作、重量物挙上など)、加齢性変化、あるいは腱板断裂・損傷に伴って、炎症、部分断裂、完全断裂、あるいは腱が本来の溝(結節間溝)から逸脱する脱臼(亜脱臼)を起こす状態です。
スポーツ選手(野球、テニスなど)や肩を酷使する職業の人に多く見られます。

症状

肩の前方(結節間溝部)の痛み、腕を上げた時の痛み、クリック音(引っかかり音)などが主です。腱が脱臼・亜脱臼する際には、肩の前方で腱が移動するような感覚(「肩の前方に引っかかるような感覚」)を自覚することがあります。

診断

問診、身体診察(結節間溝の圧痛、Yergasonテスト、Speedテスト、Uppercutなどの誘発テスト)、超音波検査、MRI検査で腱の状態(炎症、断裂、位置異常)を評価します。

治療
保存療法

基本的な治療法です。安静、薬物療法(消炎鎮痛薬)、注射療法(ステロイドなど)、リハビリテーション(肩周囲の筋力強化、柔軟性向上)を行います。

手術療法(腱固定術または腱切離術)

上腕二頭筋長頭腱単独の問題で手術が必要になることは比較的まれですが、腱板修復術など他の肩関節手術を行う際に、同時に病的変化を起こした長頭腱に対する処置(腱を別の場所に固定する腱固定術「腱固定術」や、腱を切離する腱切離術「腱切離術」)を行うことがあります。これは、長頭腱が肩の痛みの原因の一つとなっている場合に、主たる手術の効果を高めるために行われるものです。

術後リハビリテーション

上腕二頭筋長頭腱単独の症状で手術が必要になった場合は、術後早期から、理学療法士の指導のもと、可動域訓練、筋力強化を進めます。ジョギング開始は術後2ヶ月頃、軽いスポーツ動作は3ヶ月頃、コンタクトスポーツやオーバーヘッド動作への本格復帰は6ヶ月以降が目安となります。

上腕二頭筋長頭腱の病変は、しばしば腱板断裂・損傷など他の肩関節疾患に合併して見られます。そのため、治療戦略としては、まず保存療法が試みられ、手術が必要な場合は、他の合併病変に対する手術と同時に処置されることが多いという位置づけになります。

変形性肩関節症

原因・疫学

加齢、過去の外傷、腱板断裂の長期化などにより、肩関節の軟骨がすり減り、骨が変形して、関節の炎症や痛み、可動域制限が生じる疾患です。高齢化社会に伴い、患者数は増加傾向にあります。

症状

肩の痛み(安静時痛、動作時痛)、可動域制限、動かす際のゴリゴリとした音(crepitus、轢音)が主な症状です。進行すると夜間痛が出現します。

診断

問診、身体診察、レントゲン検査で関節裂隙の狭小化、骨棘形成、骨頭や関節窩の変形などを確認します。

治療
保存療法

症状の緩和を目的とします。薬物療法(消炎鎮痛薬)、ヒアルロン酸の関節内注射、リハビリテーション(肩周囲の筋力維持、可能な範囲での可動域維持)を行います。

手術療法(人工肩関節置換術、人工骨頭置換術)

保存療法では痛みがコントロールできず、日常生活への支障が大きい場合に検討します。手術は、軟骨がすり減り変形した関節面を人工物に入れ替える人工肩関節全置換術または人工骨頭置換術を行います。腱板機能が保たれている場合は標準的な人工肩関節全置換術(TotalShoulder Arthroplasty: TSA)または人工骨頭置換術(Humeral Head Replacement:HHR)、腱板機能が著しく低下している場合はリバース型人工肩関節全置換術(ReverseShoulder Arthroplasty:RSA)を選択します。人工骨頭置換術は比較的若く、関節窩の軟骨が残存している方に適応となります。個々の状態に合わせて最適な手術方法を提案します。

術後リハビリテーション

術後は、設置した人工関節(骨頭)が骨にしっかりと固定され、周辺の組織が回復するために、一定期間の安静が非常に重要です。そのため、通常は術後1~3週間肩関節外転装具を装着します。装具を外した後は、理学療法士が患者様一人ひとりの状態に合わせて作成したプログラムに基づき、専門的な指導のもとで段階的にリハビリテーションを進めていきます。
リハビリは、まず理学療法士が肩を動かす他動的な関節可動域訓練から開始し、回復状況を見ながら徐々にご自身でゆっくりと肩を動かす自動的な関節可動域訓練、筋力を強化する訓練へと移行していきます。
人工肩関節(骨頭)は日常生活動作の改善に大きな効果を発揮しますが、いくつか留意していただきたい点があります。人工関節(骨頭)である以上、長期的な耐久性には限界があること、そしてリバース型人工肩関節は腕を内側や外側にひねる動き(内旋・外旋)にはある程度の制限が残りやすいという特性があることです。これらの理由から、手術によって日常生活での腕の使いやすさは格段に向上しますが、激しいスポーツ活動や身体に大きな負担のかかる重労働への完全な復帰には、一定の制限が必要となる場合があることをご理解ください。

変形性肩関節症に対しては、まず保存療法で症状管理を図り、重症例に対しては手術という根治的な治療方法を提案します。手術は、個々の状態に応じて人工骨頭置換術(HHR)、標準型(TSA)、リバース型(RSA)から選択します。これにより若年者や重度の変形性肩関節症、腱板広範囲断裂合併例など、より複雑な症例への対応が可能です。

投球障害肩(スポーツによる肩の障害)

投球障害肩とは、野球の投球動作や、バレーボールのスパイク、テニスのサーブといった腕を繰り返し振り上げる動作(オーバーヘッドモーション)によって肩に痛みが生じる様々な障害の総称です。「野球肩」という俗称もありますが、野球以外のオーバーヘッドスポーツ選手にも広く見られます。
この障害は、一度の大きな外傷というよりは、繰り返される投球動作による肩への微細なストレスの蓄積によって発症することが特徴です。

原因・症状
原因・症状

投球障害肩の根本的な原因は、投球動作の繰り返しによる肩関節への過剰な負荷(オーバーユース)です。
特に、骨や軟骨がまだ成熟していない成長期の選手は、骨端線(成長軟骨)や関節構造が傷害を受けやすく、リスクが高まります。その他、不適切な投球フォーム、個々の体力レベルを超えた過剰な練習量や投球数(投げすぎ)、肩関節やその周辺(胸郭、脊柱、股関節など)の柔軟性不足(タイトネス)、肩関節を安定させるインナーマッスル(腱板)や体幹・下肢の筋力不足、筋力のアンバランス、不十分なウォーミングアップやクールダウンなども、肩への負担を増大させ、発症の誘因となります。
疫学的には、野球(特に投手)、ソフトボール、バレーボール、ハンドボール、テニス、水泳、やり投げなど、腕を高速で繰り返し振り上げる動作を伴うスポーツ選手に好発します。
成長期のジュニア選手から、高校、大学、社会人、プロレベルの選手まで、あらゆる競技レベルと年齢層で発生する可能性があります。

投球動作は、大きく分けてワインドアップ期、コッキング期(早期・後期)、アクセラレーション期(加速期)、フォロースルー期(減速期)という一連のフェーズから成り立っています。それぞれのフェーズで、肩関節には異なる種類の、そして非常に大きな物理的ストレス(牽引力、圧迫力、捻転力、剪断力など)が加わります。この繰り返される非生理的なストレスが、肩関節を構成する腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)、関節唇(関節窩の縁を取り囲む線維軟骨)、関節包(関節を覆う袋状の組織)、靭帯、滑膜、骨、さらには肩甲骨周囲を走行する神経などに微細な損傷を繰り返し引き起こし、炎症や組織の変性、断裂などを生じさせ、結果として痛みや可動域制限、筋力低下、投球パフォーマンスの低下といった症状につながります。
具体的に見られる病態は多岐にわたりますが、代表的なものには、腱板の部分断裂や腱炎、肩甲骨関節窩の上方関節唇が損傷するSLAP(スラップ)損傷、投球動作の後期コッキング期から加速期にかけて肩の後上方で腱板や関節包が骨に衝突・挟み込まれるインターナルインピンジメント(後上方インピンジメント)、肩関節後方の関節包に骨棘(骨のとげ)が形成されるBennett(ベネット)骨棘、成長期に特有の上腕骨近位骨端線(成長軟骨)が離開するリトルリーグショルダー、肩甲骨周囲の神経の絞扼や過度な牽引による麻痺や筋萎縮(肩甲上神経麻痺)などがあります。
これらの病態が単独で存在することもあれば、複数合併していることも少なくありません。

診断

投球障害肩の診断プロセスは、まず詳細な問診から始まります。

いつから、どの部位が、どのように痛むのか、特に投球動作のどのフェーズ(例えば、腕を振り上げたとき、ボールをリリースするとき、投げ終わった後など)で痛みが強くなるのか、練習の頻度や強度、投球数、ポジション、過去の怪我の有無、現在の競技レベルや目標などを詳しく聴取します。

次に、視診にて肩の腫れ、変形、左右差、筋肉の萎縮(特に棘上筋や棘下筋)がないかを確認し、触診によって圧痛(押して痛い場所)の有無や部位を特定します。

肩関節の可動域(自動運動と他動運動)を測定し、健側と比較して制限がないか、痛みが生じないかを確認します。さらに、様々な徒手検査(誘発テスト)を実施します。これは、特定の肢位や動作で肩にストレスを加え、痛みが誘発されるか、不安定感が出現するかなどを調べることで、損傷されている可能性のある組織(腱板、関節唇、靭帯など)や病態(インピンジメント、不安定性など)を絞り込むための重要な診察手技です。

上記の診察所見に加えて、画像検査が診断の確定や重症度の評価、他の疾患との鑑別のために行われます。

  • レントゲン(X線)検査は、骨の形態異常(骨棘、骨嚢胞、骨端線の状態など)や関節の適合性、石灰沈着の有無などを評価する基本的な検査です。
  • 超音波(エコー)検査は、放射線被曝なく、簡便に腱板や関節唇、滑液包などの軟部組織の状態をリアルタイムで観察でき、肩を動かしながら評価する動態評価も可能です。
  • MRI検査は、腱板、関節唇、軟骨、骨、靭帯などの軟部組織の状態を非常に詳細に描出できるため、投球障害肩の診断において最も有用性の高い検査の一つです。必要に応じて、超音波ガイド下に関節内に造影剤を注入してからMRIを撮影する造影MRI検査が行われることもあり、関節唇損傷や腱板関節面断裂などの描出能が向上します。
  • CT検査は、骨折線の詳細な評価や、骨棘、骨片などの骨性病変の評価に優れています。

これらの問診、身体所見、各種画像検査の結果を総合的に評価し、最終的な診断に至ります。

治療
保存療法

投球障害肩の治療は、その原因がオーバーユースであることが多いため、多くの場合、保存療法が第一選択となります。
保存療法の基本かつ最も重要なことは、原因となった投球動作を一時的に中止または制限し、肩を休ませること(積極的休養、ノースロー期間の設定)です。急性期で痛みが強い場合には、炎症を鎮めるためにアイシングを徹底し、必要に応じて消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や外用薬(湿布、塗り薬)を処方します。痛みの軽減や組織の修復促進を目的として、温熱療法、電気刺激療法、超音波療法などの物理療法が行われることもあります。
しかし、保存療法の中核をなすのは、理学療法士やトレーナーの専門的な指導のもとで行われるリハビリテーションです。リハビリテーションプログラムは個々の状態に合わせて作成されますが、一般的には、まず肩関節後方の関節包や周辺筋肉(棘下筋、小円筋など)、胸郭、股関節などの柔軟性が低下している部位に対するストレッチングを入念に行い、全身の柔軟性を改善します。
次に、肩関節の安定性に極めて重要な役割を果たすインナーマッスル(腱板)や、肩甲骨を正しい位置に安定させるための筋肉(僧帽筋、菱形筋、前鋸筋など)を選択的に強化するエクササイズを行います。同時に、体幹や下肢の筋力強化と協調性を高めるトレーニングも行い、投球動作における全身の運動連鎖を改善します。
これらの身体機能の改善と並行して、専門家による投球フォームのチェックと修正指導が行われ、肩へのメカニカルストレスが少ない、効率的で安全なフォームの再獲得を目指します。

手術療法(関節鏡視下手術)

数ヶ月(通常3~6ヶ月程度)にわたる適切な保存療法を継続しても症状の改善が見られない場合や、画像検査でSLAP損傷や大きな腱板断裂、明らかな不安定性の原因となる関節唇損傷など、投球動作の継続が困難な構造的破綻が確認され、それが痛みの主たる原因であると判断された場合には、手術療法を検討します。
手術の適応は、選手の年齢、競技レベル、損傷の種類と程度、将来的な競技継続の希望などを総合的に考慮し、選手本人や家族と十分に話し合った上で慎重に決定します。
手術は、低侵襲な関節鏡視下手術で行います。具体的な術式としては、剥がれた関節唇を元の位置に縫合固定する関節唇修復術(SLAP修復術やBankart修復術など)、炎症を起こして肥厚した滑膜やささくれた軟骨・腱組織を切除・清掃するデブリードマン(関節内クリーニング)、神経を圧迫している靭帯を切離する神経剥離術、衝突の原因となる骨棘を切除する骨棘切除術、後方タイトネスの原因となっている後方関節包の切離などが、病態に応じて単独または組み合わせて行われます。

術後リハビリテーション

良好な結果を得て最終的に競技へ復帰するために極めて重要かつ不可欠なプロセスです。
リハビリテーションの具体的な内容や進行ペースは、行われた術式、修復した組織の強度、個人の回復力などによって大きく異なりますが、一般的には段階的に進めます。
術後早期(手術当日から3週間)は、手術部位の保護と安静が最優先され、多くの場合、装具による固定を行います。ただし、完全な不動ではなく、医師や理学療法士の指示に基づき、早期から手指や手首、肘の運動、および修復部位に負荷のかからない範囲での肩の振り子運動や受動的な可動域訓練(理学療法士が肩を動かす)を開始します。その後、徐々に装具の使用時間を減らしながら、肩の自動介助運動(健側の手で患側の腕を支えながら動かす)や自動関節運動(自分の力で肩を動かす)へと進め、段階的に関節可動域を回復させていきます。同時に、インナーマッスルを中心とした肩周囲筋の軽い筋力強化(等尺性収縮など)を開始します。
術後後期では、関節可動域の完全な回復を目指しつつ、筋力強化をより本格化させ、肩だけでなく体幹や下肢を含めた全身の協調性を高めるトレーニングや、スポーツ動作に近い動きを取り入れた機能的なトレーニングへと移行していきます。十分な筋力と可動域が回復し、医師の許可が得られれば、最終段階として段階的な投球プログラムを開始します。これは、シャドーピッチング(ボールを持たないフォーム練習)から始め、徐々に軽いキャッチボール、距離・球数・強度を慎重に上げていくという流れで進めます。
競技への完全な復帰までには、一般的に術後3か月から1年、場合によってはそれ以上を要することがあります。焦らず、痛みの状態を確認しながら段階を踏んで進めることが極めて重要です。最終的な競技復帰の判断は、筋力、可動域、安定性、疼痛の有無、投球フォームなどを総合的に評価し、医師および理学療法士が行います。
また、一度投球障害肩を経験した選手は再発のリスクがあるため、復帰後も日頃からのコンディショニング(ストレッチング、筋力トレーニング、フォームチェック)や適切な練習量の管理、定期的なメディカルチェックといった再発予防策を継続していくことが、選手生命を守る上で非常に大切になります。

スポーツによる肩の障害に対しては、単に損傷部位を治療するだけでなく、根本的な原因となりうる投球フォームなどの動作メカニズムの改善や、体幹機能を含めた全身的なコンディショニングにまで踏み込んだリハビリテーションが重要となります。これは、再発予防と競技パフォーマンスの向上を目指す、包括的なスポーツ医学的アプローチと言えます。

肩関節疾患と治療法の概要

以下の表は、当院で対応する主な肩関節疾患と、それに対する治療アプローチの概要をまとめたものです。

疾患名 主な症状 主な保存療法 主な注射療法 主な処置 主な手術療法
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩) 痛み(特に夜間痛)、可動域制限 リハビリ、消炎鎮痛薬 ステロイド、ヒアルロン酸、ハイドロリリース サイレントマニピュレーション、pie crust technique 関節鏡視下授動術
腱板損傷・断裂 痛み(挙上時)、筋力低下、夜間痛 リハビリ、消炎鎮痛薬 ステロイド、ヒアルロン酸、PRP PRP 関節鏡視下腱板修復術
肩峰下インピンジメント症候群 挙上時痛(特に painful arc)、引っかかり感 リハビリ、消炎鎮痛薬 ステロイド 関節鏡視下肩峰下除圧術
石灰沈着性腱板炎 突然の激痛、夜間痛、可動域制限 消炎鎮痛薬 ステロイド 超音波ガイド下石灰吸引・洗浄、体外衝撃波療法(ESWT) 関節鏡視下石灰除去術
反復性肩関節脱臼・肩関節不安定症 不安感、痛み(特定動作時)、反復性脱臼 リハビリ(筋力強化) 関節鏡視下Bankart修復術、烏口突起移行術(Bristow変法)
上腕二頭筋長頭腱炎・損傷・脱臼 肩前方の痛み、挙上時痛、クリック音 リハビリ、安静、消炎鎮痛薬 ステロイド PRP 腱固定術・切離術
変形性肩関節症 痛み(安静・動作時)、可動域制限、ゴリゴリ音 リハビリ、消炎鎮痛薬 ヒアルロン酸 PRP 人工肩関節置換術(HHR, TSA, RSA)
スポーツによる肩の障害(投球障害肩など) 動作時痛、不安定感、パフォーマンス低下 リハビリ(フォーム修正、体幹含む) ハイドロリリース pie crust technique,PRP 関節鏡視下関節唇修復術、デブリードマン、関節包切離、骨棘切除

※表は左右にスクロールして確認することができます。

この表は概要であり、実際の治療は個々の患者の状態に応じて決定されます。

提供される主要な治療モダリティ

当院では、肩関節疾患に対して多岐にわたる治療選択肢を提供しています。

保存的治療

薬物療法

多くの疾患で初期治療や症状緩和のために消炎鎮痛薬が用いられます。

リハビリテーション

全ての肩関節疾患の治療において中心的な役割を果たします。
理学療法士によるマンツーマンのリハビリテーションで、個々の状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを提供します。可動域改善、筋力強化、肩甲骨や体幹の安定性向上、スポーツ動作の改善などを目的とした訓練が行われます。

注射療法

多様な選択肢

炎症や痛みを抑えるためのステロイド注射、関節の潤滑性を改善するヒアルロン酸注射、癒着を剥がす目的のハイドロリリースなど、病態に応じた注射療法を選択します。

再生医療

腱板損傷などに対して、自己治癒力を利用するPRP(多血小板血漿)療法を選択肢として提供しています。

ガイド下処置

超音波ガイド下での注射(関節内注射、ハイドロリリース)、石灰吸引・洗浄、pie crust techniqueなど精度と安全性を高めるための技術を用いています。

特殊な非手術的介入

サイレントマニピュレーション(非観血的関節授動術)

保存療法(注射やリハビリ)への抵抗性がある(肩の拘縮や痛みが十分に改善しない)場合や早期の症状改善を希望される場合に検討する、当院の特徴的な治療法です。
外来(日帰り)で行われ、超音波ガイド下に頸部の神経(第5頸椎神経根)に局所麻酔を行い(伝達麻酔)、肩の痛みを一時的に消失させます。麻酔が効いている状態で、院長が徒手的にゆっくりと肩関節を動かし、硬くなった関節包を剥離・伸張させて可動域を改善します。
手術や入院が不要で、速やかな可動域改善が期待できます。肩専門である院長が行います。

体外衝撃波療法(ESWT)

石灰沈着性腱板炎に対して有効な場合があります。

手術療法

院長による執刀

希望される場合は、肩関節外科と関節鏡視下手術を専門とする院長が提携病院で手術を執刀します。

関節鏡視下手術

腱板修復、Bankart修復、関節包解離、肩峰下除圧、石灰除去、SLAP修復など、多くの手術を関節鏡視下手術を中心とした低侵襲手術で行います。

人工関節(骨頭)置換術

広範囲腱板断裂や変形性肩関節症、上腕骨近位端骨折(4 parts)などに対して、人工肩関節置換術(TSA、RSA)、人工骨頭置換術を行います。

連携体制

手術自体は提携病院で行いますが、手術適応の判断、術前の計画、そして極めて重要な術後のリハビリテーションは一貫して当院で管理します。
この体制は、診断から治療、リハビリテーションまでを専門医が一貫して監督する「ハブ・アンド・スポーク」モデルと見なすことができ、患者さまにとっては質の高い医療へのアクセスとケアの継続性が確保される利点があります。

肩の専門外来

このように、当院は基本的な保存療法から、PRPのような再生医療、ハイドロリリース、pie crust technique、サイレントマニピュレーション、ESWTといった特殊な非手術的介入、そして関節鏡視下手術から人工関節置換術に至るまで、非常に広範な治療選択肢を有しており、個々の患者さまの病態やニーズに応じた最適な治療戦略の立案が可能です。

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