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- 肩の痛み

肩関節は、私たちの体の中で最も可動域(動く範囲)が広い関節ですが、その複雑な構造ゆえに不安定になりやすく、様々な痛みや不調の原因となります。
「腕が上がらない」「夜中に肩の痛みで目が覚める」「着替えがスムーズにできない」など、肩の痛みは日常生活やスポーツ活動に大きな支障をきたします。
当院の院長は、肩関節疾患の診断と治療(特に肩関節鏡視下手術)を専門としており、豊富な経験と知識に基づき、的確な診断と最適な治療を提供します。些細な症状でも、お気軽にご相談ください。
「肩の痛み」で、整形外科を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、ご相談ください。
1. 痛み
- 肩を動かすと痛い。(特定の角度で痛む、引っかかる感じがする)
- じっとしていても痛む、肩が重だるい。
- 夜間に痛みが強くなる、痛みで目が覚める。(夜間痛)
- 首から肩、腕にかけて痛みが広がる。
- 慢性的な肩こりが続いている。
2. 動きの制限(可動域制限)
- 腕が上がらない、後ろに手が回らない。(結滞動作困難)
- 着替えや髪を洗う動作がしにくい 。
- 肩が固まって動かせる範囲が狭くなった。
3. 不安定感・脱力感
- 肩が外れそうな感じがする。(不安定感)
- 腕に力が入らない、物が持ち上げにくい。
4. その他の症状
- 肩を動かすとゴリゴリ、ジャリジャリといった音がする。
- 転倒などケガの後から肩の痛みが続く、腫れている。
肩の痛みの主な原因
肩の痛みの原因は様々です。正確な診断が適切な治療への第一歩です。
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎・凍結肩)
明らかな原因がなく、肩関節の周りの組織(関節包など)に炎症が起こり、痛みと共に関節の動きが悪くなる状態です。
自然に治ることもありますが、放置すると肩が固まったままになる(拘縮)ことがあるため、早期からのリハビリテーションが重要です。
肩腱板損傷・断裂
肩を動かす重要な筋肉(インナーマッスル)である腱板が、加齢や使いすぎ、外傷(転倒など)によって傷ついたり、切れたりした状態です。
腕を上げる際の痛みや筋力低下、夜間痛などが特徴です。「スジが切れた」状態であり、自然治癒は難しく、大きさや症状によっては手術(関節鏡視下腱板修復術、リバース型人工肩関節全置換術)が必要となります。
肩峰下インピンジメント症候群
腕を上げる際に、肩の骨(肩峰)と腱板などが衝突し、炎症や痛みを引き起こす状態です。
繰り返すことで腱板損傷につながることがあります。
石灰沈着性腱板炎
腱板の内部や表層にリン酸カルシウムの結晶(石灰)が沈着し、急激な激しい痛みを引き起こすことがあります。レントゲンや超音波検査で診断可能です。
反復性肩関節脱臼・肩関節不安定症
スポーツや外傷で肩が脱臼した後、肩が外れやすくなった状態(不安定症)です。
繰り返す脱臼は、関節の軟骨や骨を傷つけるため、手術(関節鏡視下Bankart修復術、関節鏡視下Bankart&Bristow法)が必要となることが多いです。
上腕二頭筋長頭腱炎・損傷・脱臼
力こぶの筋肉(上腕二頭筋)の腱が、加齢や使いすぎ、外傷によって不安定性が生じ、炎症が起こった状態です。症状は主に肩の前方の痛みです。
増悪すると損傷や脱臼を生じます。また、腱板損傷・断裂に合併することがあります。
変形性肩関節症
肩関節の軟骨がすり減り、骨が変形して痛みや動きの制限が生じます。
腱板断裂を長期間放置した場合に起こることがあります。
進行すれば、人工肩関節置換術が必要となります。
スポーツによる肩の障害
リトルリーグショルダー
成長期の投球動作の繰り返しにより、上腕骨の成長軟骨部分(骨端線)が損傷する状態です。
投球時の肩の痛みが特徴です。
投球障害肩
繰り返す投球動作(オーバーヘッド動作)によって肩の後方組織が硬くなり(後方タイトネス)、骨頭の求心位が保てなくなることで、肩関節周囲の組織に炎症や損傷が生じた状態です。
肩関節以外(肩甲胸郭関節、胸椎、股関節、下肢など)に原因があることが多いです。
野球・水泳・テニス・体操・バレーボールをする方に多く見られます。
SLAP(スラップ)損傷
関節の受け皿(関節窩)の縁にある軟骨(関節唇)の上部が剥がれたり、断裂したりする状態です。
投球動作や転倒などで発生し、主な症状は、肩の奥の痛みやひっかかり感です。
ベネット病変
投球動作の繰り返しにより、肩関節の後ろに骨のトゲ(骨棘)ができ、投球時などに痛みを引き起こします。投球障害肩の一種です。
肩鎖関節脱臼
ラグビーや柔道などで肩を強く打ち、肩甲骨と鎖骨をつなぐ関節(肩鎖関節)がずれた状態(脱臼)です。
肩甲上神経障害
肩甲骨の近くを通る神経(肩甲上神経)が、ガングリオン(関節液の袋)や靭帯、骨のトゲなどによって圧迫されたり、牽引されたりすることで生じる神経障害です。
バレーボールのスパイクやサーブ、野球の投球、水泳などのオーバーヘッドスポーツ選手に多く見られます。
診断と治療
診断
- 症状や受傷機転、スポーツ歴などを詳しく伺い、肩の動きや筋力、圧痛点などを診察します。
- レントゲン検査で骨の状態や石灰の有無を確認します。
- 高精細な超音波(エコー)検査を積極的に活用し、レントゲンでは見えない腱板や筋肉、靭帯、関節包、滑液包などの状態を詳細に評価します。動きの中で組織の状態を観察することが可能です。
- 必要に応じて、提携病院でMRI検査を行い、より精密な診断を行います。
治療
保存療法
安静・生活指導 | 肩に負担のかかる動作を避けます。 |
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薬物療法 | 消炎鎮痛薬(内服、外用)で痛みや炎症を抑えます。 |
注射療法 | 関節内や滑液包へヒアルロン酸やステロイドの注射、痛みの原因となっている部位へのハイドロリリースや神経ブロック注射などを行います。石灰沈着性腱板炎に対しては、エコーガイド下に石灰を吸引・洗浄する処置を行います。 |
リハビリテーション | 肩の治療において最も重要な要素の一つです。理学療法士が、関節の可動域改善、インナーマッスルを中心とした筋力強化、正しい肩の使い方(動作指導)などを、当院の広大なリハビリ室でマンツーマンで行います。 |
再生医療・先端医療 | 腱板損傷や関節症に対してPRP療法、石灰沈着性腱板炎や腱炎に対して体外衝撃波療法なども選択肢となります(※一部自費診療) |
手術療法
- 手術療法が必要な場合、手術を提案します。
- 当院では、院長自身が提携病院で関節鏡視下手術(腱板修復術、バンカート修復術、関節唇修復術、授動術など)、人工肩関節全置換術などを執刀します。関節鏡手術は、小さな傷で行うため、体への負担が少なく、早期の回復が期待できます。
- 手術前から術後のリハビリテーションまで、一貫して当院でサポートいたします。
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肩の痛みは、原因を正確に診断し、適切な時期に適切な治療を開始することが、良好な回復への鍵となります。
長引く肩の痛みや、急な痛みでお困りの方は、ぜひ肩関節を専門とする当院にご相談ください。