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- 腕・肘・手・指の痛み

腕から指先にかけては、多くの骨、関節、筋肉、腱、神経が複雑に連携して、物をつかむ、書く、投げるなどの精密な動作を可能にしています。
そのため、この部分に痛みやしびれ、動かしにくさなどの症状が出ると、日常生活や仕事、スポーツに大きな影響が出ることがあります。
腕や手の症状は、首(頸椎)や肩の問題が原因で起こることもあれば、肘、手首、指自体の問題が原因であることもあります。原因を正確に突き止め、適切な治療を行うことが重要です。
腕・肘・手・指の症状で整形外科を受診すべき場合
以下のような症状がある場合は、ご相談ください。
1. 痛み
- 腕、肘、手首、指の特定の場所が痛む。
- 物を持ち上げたり、手首や指を曲げ伸ばししたりすると痛む。
- 転倒などの後から強い痛みがある。
- 安静にしていても痛む、ズキズキ痛む。
2. しびれ・感覚障害
腕、肘、手、指がしびれる、ジンジンする、感覚が鈍い。
3. 動きの問題
- 肘や手首、指が動かしにくい、曲がらない、伸びない。
- 指が引っかかる感じがする、カクンとなる(ばね現象)。
- 指や手首の力が入りにくい、握力が低下した、物をよく落とす。
4. 見た目の変化
- 腫れている、熱を持っている。
- 赤くなっている。
- 見た目が変形している(特にケガの後)。
腕・肘・手・指の痛みの主な原因
神経の圧迫によるもの
手根管症候群
手首にある神経(正中神経)が圧迫され、親指から薬指の親指側半分にしびれや痛み、指先の感覚異常が生じます。明け方に症状が強くなるのが特徴です。
肘部管症候群
肘の内側で神経(尺骨神経)が圧迫され、小指と薬指の小指側半分にしびれや感覚異常、手の筋肉の痩せ(筋萎縮)などが生じます。
頸椎由来の症状
頸椎椎間板ヘルニアや変形性頸椎症など、首の神経が圧迫されることで、腕や手への放散痛やしびれが出ることがあります。
胸郭出口症候群
首から腕へ向かう神経や血管が、鎖骨周辺で圧迫されて起こります。腕のだるさ、しびれ、痛み、手の冷感などが現れます。
腱や腱鞘の炎症
腱鞘炎
指や手首の腱と、それらを包むトンネル(腱鞘)がこすれて炎症を起こします。
指の付け根が痛む・腫れる・引っかかる「ばね指」や、手首の親指側が痛む「ドゥケルバン病」などが代表的です。
上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
手首を伸ばす筋肉の付け根(肘の外側)に炎症が起こり、物をつかむ、タオルを絞るなどの動作で肘の外側が痛みます。
家事動作、ラケットスポーツやゴルフのスイング動作などで発症します。
上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
手首を曲げる筋肉の付け根(肘の内側)に炎症が起こり、肘の内側が痛みます。
家事動作、ラケットスポーツやゴルフのスイング動作などで発症します。
関節の問題
変形性関節症(肘、手指)
加齢や使いすぎにより関節軟骨がすり減り、痛みや動きの制限、関節の変形(へバーデン結節、ブシャール結節など)が生じます。
関節リウマチ
免疫の異常により関節に炎症が起こり、手指や手首の関節が腫れたり痛んだり、変形したりします。朝のこわばりが特徴的です。
肘内障(子供の肘抜け)
小さなお子さんの腕を引っ張った際などに、肘の靭帯から骨が外れかかった(亜脱臼)状態。急に腕を痛がり動かさなくなります。
外傷(ケガ)
転倒や打撲による骨折(手首の橈骨遠位端骨折、舟状骨骨折、肘の骨折など)、脱臼(肘関節など)、靭帯損傷(突き指など)、腱断裂。
スポーツによる肘の障害
野球肘
投球動作の繰り返しにより生じる肘の障害の総称。
肘の内側の靭帯損傷(UCL損傷)や、外側の骨軟骨損傷(離断性骨軟骨炎:OCD)などがあります。特に成長期に多く生じる離断性骨軟骨炎(OCD)は、放置すると重症化します。
テニス肘、ゴルフ肘
ラケットスポーツやゴルフのスイング動作、家事動作などで発症します。
診断と治療
診断
- 症状、きっかけ、職業やスポーツ歴などを詳しく伺い、患部の診察(圧痛点、腫れ、動き、神経学的テストなど)を行います。
- レントゲン検査で骨の状態を確認します。
- 超音波(エコー)検査で、腱、靭帯、神経、軟部組織の状態を詳しく評価します。
- 必要に応じて、MRI検査や神経伝導速度検査などを追加します。
治療
保存療法
安静・固定 | 患部の安静を保ち、必要に応じてテーピング、サポーター、装具(スプリント)などを使用します。 |
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薬物療法 | 消炎鎮痛薬(内服、外用)や、神経障害に対する薬などを処方します。 |
注射療法 | 痛みが強い場合や炎症を抑えるために、ステロイド注射(腱鞘内、関節内、神経周囲)、ヒアルロン酸注射、ハイドロリリースなどを行います。 |
リハビリテーション | 理学療法士がストレッチ、筋力強化、物理療法(温熱、電気、超音波など)、生活指導、スポーツ動作指導などを行います。 |
先端医療 | 難治性の腱鞘炎や上顆炎などに対して、動注治療や体外衝撃波療法が有効な場合があります。(※一部自費診療) |
手術療法
保存療法で改善しない場合や、神経の圧迫が強い場合(手根管症候群、肘部管症候群)、腱断裂、骨折などで手術が必要となることがあります。
手術が必要な場合は、連携する専門病院をご紹介し、症例によっては院長自身が執刀を担当することもあります。
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腕から指先にかけての痛みやしびれは、様々な原因が考えられます。症状を放置せず、早期に原因を特定し、適切な治療を開始することが大切です。お困りの方は、ぜひ当院にご相談ください。